おぼっちゃんの恋

b0231554_1357875.jpg
ここ最近、再話の仕事のため、名作を読み返しています。
あらためて読んでみると、発見の多いこと。

その最たるものが『あしながおじさん』です。
恵まれない孤児の女の子が、正体不明の紳士の援助により、
大学へ進学し、成長するシンデレラストーリーだと記憶していたのですが、それだけじゃなかったのですね。

それなりに酸いも甘いも経験したおばさんになると、
“あしながおじさん”の心理が見えるわ見えるわ。

援助をしている彼女が賢く、美しくなっていくのをうれしく思っていたうちは
よかったのですが、しだいに彼女に惹かれるようになってからは、立場が逆転。

彼女に好意を抱く男が出没する度にヤキモキし、
贈り物攻撃で自分の手の内にとどめておこうとします。

が、彼女は奨学金を得て、自立しはじめてしまい、
ちっとも落ち着いてはいられなくなるのです。

上流社会しか知らない“あしながおじさん”は、
上っ面でしか、人とつきあえなかったんだろうなぁ、とか、
お金による愛の表現の仕方しか、知らないんだなぁ、とか、
その不器用なおぼっちゃんぶりが、かわいく思えてしまいました。
(30代半ばの男性なんですけどね)

このあたりを、谷川俊太郎訳のフォア文庫版(挿絵は長新太)では、
佐野洋子さんがユーモアたっぷりに解説してくれます。
佐野さんの解説にはうんうん、うなずき、最後には笑ってしまいました。

この本は、佐野さんと谷川さんが恋人同士だったころに出版されたのかなぁ。

ともあれ、さすが名作。
表面にはない心理劇がすばらしいです。

目下、恋する女子は、主人公の生き方が恋愛必勝法として、参考になるでしょう。
男子の心をとらえて離さない、好奇心旺盛で、たくましくて、自由で、ユーモア精神があって、
自立した女性像がね。

おばさんになってから読み返すなら、
解説もおもしろい、フォア文庫版の『あしながおじさん』がおすすめです。
トラックバックURL : https://arisasaki.exblog.jp/tb/17021041
トラックバックする(会員専用) [ヘルプ]
※このブログはトラックバック承認制を適用しています。 ブログの持ち主が承認するまでトラックバックは表示されません。
by arisasaki | 2011-11-21 14:01 | 発見 | Trackback