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佐々木制作所・永久名誉会鳥ハピさん。従業員ささきありのつぶやき。児童書を書いています。既刊については、下記のホームページで紹介しています。https://sasakipr.com
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きみはアゲハ その1
花に水をやる。
太陽の光を反射して、水がキラキラひかる。

絶好のゴールデンウィーク日和だ。

と、カサカサと動くものが、目の端に入った。

ベランダの隅でもがくもの。
黒と黄みがかった白のライン模様。
アゲハチョウ……だけど、なんかへんだ。

よく見ると、4枚の羽のうち、上の2枚が折れ曲がっているうえ、
下の2枚がやぶれて、ほとんど失われている。

飛んでいる途中で鳥にやられたのか、
うちより上の階のベランダで羽化したものの、
羽が乾く前になにかアクシデントがあったか、
そのどちらかだろう。

折れた羽をなおしてやろうと、指でつまんでみたが、
乾ききっていて、なおらない。

アゲハチョウをプランターの植物に置くと、
羽ばたこうとして、ぽてっと、落ちた。

バタバタもがく姿は、
なぜ飛べないのか、理由がわからず混乱しているように見える。
そっと、指を差し出すと、必死でつかんできた。

助けて……。

そう言っているように見える。

いや、そうやって勝手な解釈で手をさしのべるのは、人間のエゴだ。
自分の力で食料を得られなければ、死ぬのが自然の掟。

ぼくは、プランターの葉にアゲハチョウを置いて、部屋に入った。
朝食を終え、PCでメールチェックをする。

そういや、アゲハチョウのこと、よく知らないな。

ネットでアゲハチョウを検索した。

日本でアゲハチョウといえば、アゲハチョウ亜科。
ナミアゲハが代表格。
蛹は冬を越すものもあるというから、あいつは、その冬越し蛹だったのだろう。
卵100個のうち、成虫になるのは1個か2個ってことは、
あいつは100分の1ぐらいの確立で生まれてきた希少なチョウなんだ……。

ぼくはまた、ベランダに出た。
プランターの土の上に、ひっくりかえったアゲハがいる。

飛ぼうとして、ひっくりかえったのだろう。

指を差し出すと、また必死につかんでくる。

なんで、わたしは飛べないの?

そう問いかけているようだ。

いや、そう思うのは、自分に重ねて見ているからだ。

思うようにはいかない日々、羽ばたけない現状をもどかしく思っているからだろう。
自己愛の強さに半ばあきれつつ、ぼくはアゲハチョウを部屋に入れた。

アゲハチョウの飼育方法に、ハチミツ水を与えるとあったが、
ハチミツがないので、砂糖水をつくってコットンにひたす。

コットンの上にアゲハチョウを置くと、するすると、ストローをのばして吸い始めた。

しばらくすると、お腹がぷっくりふくれたように見えた。
背中もつやつやして、元気そうだ。
きみはアゲハ その1_b0231554_1174175.jpg

部屋に置いてあるパッションフルーツの葉にのせると、
つかまりにくいようで、ぽてっと落ちた。
つまみあげて見ると、やぶれた下の羽の一部が脚にくっついている。

「このせいで、歩きにくいんだな」

ぼくは脚についた羽をとりのぞき、チョウをプランターの添え木の上にある軍手にのせた。
今度はつかみやすいようで、ひょこひょこ軍手の上までのぼり、
深呼吸するように羽を開いたり閉じたりした。

正確には、羽が折れ曲がっているせいで、しっかり閉じることはできないのだけど。

部屋で飼育されることを、アゲハチョウが望んでいるかどうかはわからない。

でも、これもなにかの縁ということで、つきあってもらおう。

こうして、ぼくとアゲハチョウの同居がはじまった。

つづく
by arisasaki | 2015-05-06 11:15 | 発見
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